モンクレールとヘルノ 買うならどっち?比較検討

モンクレールヘルノ といえば、イタリアを代表するダウンコート・メーカーだ。

どちらも、イタリアに本拠地があり、イタリアでデザインされ、ヨーロッパの安い国の労働力で生産される高級な価格のダウンであり、ラグジュアリーブランドとして世界中で認知されている。

厳密に言えば、モンクレールは創業がフランスの企業だが、その後イタリアに買われ、今の本社はミラノだ。重役の殆どはイタリア人、イタリア国外のモンクレール直営店のストアマネージャーもイタリア人だったりする。完全にイタリア企業。

さて、 モンクレールとヘルノ 。この二大の高級ダウンブランドだが、買うならどちらが良いのか。

ネームバリューで買う人ならば迷わずモンクレールだろうが、それ以外の要素「価格」「品質」「デザイン」を基準に選ぶならどちらのメーカーが良いのかだろうか? MonclerとHernoの違いは何なのか? 元バイヤー目線で比較してみた。

モンクレールとヘルノ

モンクレールとヘルノ の違い

ブランドの歴史

モンクレール

Monclerは1952年にフランスのグルノーブル近郊でRené Ramillon によって設立された。

もともとは寝袋やテント、ウィンドブレーカーといったアウトドア商品を販売していた。ダウンは1954年に山の工場で働く同社の従業員用の上着として着用するために作り始めたのが始まりだ。

それを知ったアルピニストの友人のススメでアルペン用のダウンを開発し始め、1968年にはモンクレールはグルノーブルでの冬季オリンピックの間にフランスの国立高山スキーチームの公式ウェア提供者になった。

1992年にモンクレールはイタリアのブランドとなり、2003年にブランドは起業家のレモ・ルッフィーニ(社長兼クリエイティブディレクター)によって買収される。2013年にミラノで上場。

順調に高級ダウンとしてグローバルにブランド展開していったモンクレールだが、そのネームバリューの裏側に生産体制の問題も指摘されている。

2014年、イタリアの調査番組により、以下のようなスキャンダラスな実態がスクープされた。

モンクレールの残虐なダウン生産の舞台裏 ~血まみれなガチョウたち

2014年11月、テレビ番組「Report」によるモンクレールの生産方針の調査が放映されると、翌日の株式市場でモンクレールのシェアは大幅に下落。

http://www.report.rai.it/dl/Report/puntata/ContentItem-3e1844c1-87db-4948-b074-3715bb98e66a.html

ダウンのメイン素材はガチョウ。そのガチョウの羽毛採取が、残酷で違法な方法で行われていることが番組で報告された。

ヨーロッパでのガチョウ農場大国はハンガリーである。ガチョウ大国=ダウン大国。番組の調査した農場はモンクレールの下請けでもあるという。

報道映像やインタビューで晒されているのは、ハンガリーの農場ではガチョウの羽毛周期を無視して、毛をむしり取ることで生産量を確保する「違法」な採取が慣行している様子。

ガチョウに拷問のような痛みとストレスを与え続けて、血まみれ無残な姿に。ダウンはガチョウから引き裂かれ、皮膚に裂傷を引き起こし、ガチョウの皮膚は修復のため縫合される。羽が成長すると、ガチョウはまた引き裂かれ血まみれになる。

モンクレール ダウン ガチョウ

しかし、ヨーロッパの規制では、ガチョウの羽が生え変わる時期に梳く(コーミング)ことで収穫される自然な採取方法が規定されいてる。

また、そういった動物保護の規定がない国=モルドバもモンクレールのダウン生産地としてしられており、おそらくこの残酷行為が繰り返されているだろうというのが番組や一部ジャーナリストの主張。

もちろんこういった残酷な採取方法を慣行しているのが一社だけだとは考えづらい。

モンクレールがやっていてもおかしくないが、他の会社もやっているであろう。土壌汚染訴訟で訴えられるのが大手企業だけなのと同じように、モンクレールが有名だから名指しされているだけなのだろう。

ヘルノ

Herno ヘルノは1948年イタリア人のGiuseppe Marenzi とその妻Alessandraによってイタリア北部のエルノ川ほとりで立ち上げられたブランド。現在のオーナーの両親である。

イタリア語ではHは発音しないため、正しい発音は「エルノ」

防水性の高い上着を売りにしていたことから、Erno川の頭に水を連想させるHをつけることでHernoというブランドネームにした。(ちなみにアルファベットのHはイタリア語で「アッカ」と読む。水=acquaは「アックア」と読む)

ヘルノは当初レインコートやカシミヤのコートなどをヨーロッパに展開して有名になり、その後レインコートとダウンを組み合わせたアウターを販売始めた。マレンツィが日本に行った際、雨降っており寒かったため、現地でダウンを購入し、ヘルノのレインコートの下に着たのがアイデアの元だったという。つまり今のHernoは、ダウンはダウンでも防水性の高い表面素材がありきという特徴があるのだ。

80年代に入るとジルサンダー、プラダ、グッチ、アルマーニ、ヴィトンといったブランドのアウターを担当し始める。と同時に、日本やアメリカにもブティックを構えてラグジュアリーブランドとして国際展開していった。

ということで、ダウンコート/ダウンジャケットで有名だが、空気を通さない&保湿性を高める表面素材と構造の開発に余念がなく、どちらかというと機能性を重視する面が残るメーカー。

価格 の妥当性

モンクレールとヘルノは価格が倍違う。といっても過言でないくらい、モンクレールが高い。

Moncler の価格

Monclerは最も安いダウンで現地価格500ユーロくらいから・・・。しかし、ダウンコートらしいダウンコートになると、とにかく高い。

500ユーロくらいの品物って当然ショートor春夏用の薄いダウンの価格になる。日本人がダウン購入を検討するときは、まず寒い冬の時期を考えているだろうから春夏のライトダウンは除外して考えたい。

そうなると、冬用のダウンジャケットはロングだと800ユーロ近い価格からスタート=日本円で10万は最低でも超える価格になってくる。

ロングでもフード付きモデルの価格は更に上がるため、予算としては現地価格でも1000ユーロ程度からと考えたほうが良いだろう。そしたら日本じゃ20万くらいか。

その価値があるのか?と言われれば・・・・。この価格の中身の大部分は「ブランド料」であり「広告費」が占めているのは当然。モノの価値としては、その値段を払わなくても同様の良質なダウンは他にいくらでもある。そして、縫製もあまり良くないんだな・・・。

モンクレールも他の高級イタリアブランドもそうだけど、着てるのって大体ユーロ圏外の人だよね。

ちなみにモンクレールのダウン一着の生産コストは大体30ユーロ程度であるとReportでは報告されている。

Herno の価格

ヘルノは高級ダウンではあるが、モンクレールと比べるとずいぶん安い。ロングでもフード付きで600ユーロ程度。

もちろん国内に入ってくると、正規代理店を通せば600ユーロのものも16万円になるので、モンクレールと比較して差がなく感じる。ただし、直営店以外でも現地セレクトショップでの扱いが多く、ゆえに並行輸入業者も大勢いるので、そういった非公式業者を通せばショートなら5万程度、ロングでフード付きでも8万程度である。

モンクレールの場合は、並行輸入業者も売れると高を括っている部分があるため、上乗せ率も高く、中々正当な価格で出回らない。モンクレール的にもブランディングの関係で、直営以外おろさないため、希少性があがりやすい。

転売するなら?

中古でメルカリなどで素人が転売する場合も、現地新品価格と大差がないほど高いのが現状である。

ということで、ヘルノは並行輸入であれば比較的リーズナブルな価格で購入でき、お得。だが、古着になった時に売ることを目的とするなら、モンクレールのほうがお得ということになる。ヘルノの知名度は、ミーハー層まで及んでいるモンクレールとはくらべものに成らない低さなので、当然ながら中古で欲しい人も少ないのだ・・・。

また、ショートとロングの価格差が余りないため、ヘルノならロングのほうが価格が安く感じられる。

ロングとショートの価格差

現地価格限定になる話だが、ショートとロングの価格差がHernoは余りない。もちろんモデルにもよるが、ショートとロング(フード付き)の差が100ユーロほどのHerno。

モンクレールはショートのデザインも価格も結構幅広く、現地なら500ユーロくらいから1000を超えるモデルもある。対する冬用のロングでフード付きは買うならば1000は超えてくるため、差が大きい・・・・。

ショートを買うときは、それほど厳密に防寒を追及することもなく、デザイン性と軽さを求めるだろう。となると個人的にはモンクレール

ロングのダウンに関しては、600ユーロ未満で買え、かつ構造的にも寒さ対策が秀でているHerno。Hernoを買うならショートよりロングだろう。Hernoのショートダウン独特の丸いシルエットは中年ぶとりが気にな女性には需要がありそうだが・・・・。

デザイン性

デザインだけで選ぶなら、比較にならない。圧倒的にモンクレールだ。

シルエットへのこだわりとバリエーション豊富なモンクレール

モンクレールは定番も多くある一方で、毎年バラエティ豊富で、違ったテーマのカラーやデザインを投入してくる。トレンドに左右される消費者や、シーンに合わせてアウターを何着も持つような富裕層向け。

定番のブラック・ネイビー・グレーなどに加え、需要のなさそうなビビッドな色も、パステルカラーも、なんでもある。近年は、大手市場である中国をターゲットとしたピンクをテーマにしたりと、身売り間は否めない。

しかしながら、形もウエストをシェイプしたもシャープなものから、丸い系、フリル付き、スポーティ、ゴージャスな上位価格ラインナップなど豊富なので、あらゆる購入者が満足できるデザインが見つかるブランドでもある。デザイン的には良い意味でガウン感があんまりない。

モンクレール_デザイン

くびれ感を強調するモンクレールのモデルにおける、ウエストラインはすごい。くびれ部分を背中側からみると、コルセットみたいに硬く縦ラインがとってあるのだ。こんなんヘルノはないよ・・・・。

モンクレールとヘルノ
モンクレールのショートとロング。くびれ。

丸みと機能性のヘルノ

Hernoといえば国内百貨店では、半そでみたいな中途半端な袖の長さに、ボディ部分はゆる~い丸みを全体的に帯びたデザインのダウンがトレードマークみたいに宣伝されていた。

が、実際の現地ラインナップをみると、基本的にスポーティ&カジュアル。袖口など空気を通さないような構造や超軽量化など、機能性を追及したデザインに長けている。遊び心とデザインがテーマみたいなコートはない。

Herno_ヘルノ_Laminar

色は定番系がほとんど。ブラック・ネイビー・グレー・オフホワイト・たまにレッド。

Hernoはシェイプしたデザインも、かなり丸みが残る。別に不細工ではないのだが、シルエット重視さはHernoには感じられない。

ディテール比較

襟元

モンクレールの方が、総じて襟部分の厚みが分厚い。襟が結構大きめで高さがあり、たっぷり厚みもあるため、首や顔に沿う形になり、頭が小さく見える。スタイルがよく見える。

ヘルノは比較すると襟が薄め。これによりちょっと風が入ってくるなーと思うのだが、中にセーターやマフラーなど重ね着していることを想定してのものと思われる。

袖口

ヘルノのダウンジャケットには半手袋的に手首ウォーマーがついているデザインがある。素材はウールだったり合成繊維だったりするが、これがかなり暖かい。手袋いらずでいられる。

品質

さて、2社を比較した品質はどうなのか・・・。どちらも軽くて暖かい。そして、両方ともイタリアンデザインではあるけれど、Made in はイタリーはない。ヨーロッパの人件費が安い国だ。

縫製の悪いモンクレール

ぶっちゃけモンクレールは糸がほつれてきやすい。新品で販売している時点でほつれてるのもあるし、糸の処理が甘い。国内で販売しているものはもっと検品基準が高いのかもしれないが、とりあえずヨーロッパ現地モンクレールで売ってるのは、そんな感じのものも多い。

ダウンに関しては、なんとも言えないが、ダウンジャケットの厚みはミシュランタイヤのキャラのようにガッツリ膨らんでいるものがおおい。分厚い。だから暖かさに関しては、ほつれてこようが何だろうが問題は無いのだと思うが・・・・。

防水性に優れたヘルノ

暖かさを保つのはダウンの量ではないという。水に弱いダウンを守り、外からの風を通過させない表面素材なのであると。そういうロジックからなのか、Hernoのダウンは分厚さはMoncerよりも薄いものが多いと思うが、作りに関しては防寒と防水を意識の中心に置いたつくりになっている。

ヘルノをグーグル検索すると、「ヘルノ」「寒い」などの関連ワードが出てくるのだが、おそらくヘルノは十分あったかい。寒いのは日本のヘルノで良く売っている、あのショートの袖口もショートで裾が広がっているタイプなのではないかと想像する。ロングコートに関しては、十分暖かい。

結論

さて、ヘルノとモンクレール、どっちがいいのか。

定番系デザイン、機能性、ロングコートのコスパならHerno。

カッコよさ、ブランド知名度、金に糸目をつけないならMoncler。

そんな感じでしょうか。あとで転売を目的にモンクレールという手もあるけれど、人気モデルじゃないとそんな売れないしな・・・。

Share

この記事を書いた人

Macaron

イタリア語・英語の通訳、翻訳などをしているトライリンガル。しかし仕事をしてるより放浪してる方が多い。