モンクレール転売 というオシゴト

イタリア在住時代の最後にあたる2013年、私は モンクレール転売 のパシリをして生活の糧にしていた。

モンクレールをイタリアで購入して、日本に送り、日本で非正規ネット販売をする。良い言い方をすれば「並行輸入」、実際は違法に労働力を活用して行う「転売」である。

モンクレール転売
Moncler ウィーン店にて

国内の正規モンクレールの値付け

この転売ビジネスが成立するのも、日本国内のモンクレール代理店での販売価格が、現地価格の2倍近いからである。

例えば、2015年にモデルが着たとかで日本でもソールドアウト人気の型番だったVouglans。イタリアなどEU諸国での価格は790ユーロほど。当時のレート1Euro=117~122円ほど。タックスフリーすれば100ユーロ帰って来る。輸出処理をすればVATが帰って来る。実質700ユーロ未満になる。

このVouglansの日本での定価は19万円・・・。

型番によっては国内価格とそこまでの差がないものもあるが、逆に2倍以上の差があるものもある。

タックスフリーは旅行者のみになるが、どちらにせよEU圏内のセレクトショップで「バイヤーなんだけど」といって複数モンクレールのダウンを購入すると、大体10%-15%は値引きしてもらえる。

そうやってEUで現地の人が購入したモンクレールの商品を、送料の安いEMSなどで日本に送るなどのその他経費を加算しても、簡単に利益は出る。販売価格をちょっぴり正規代理店価格より安くすれば良いのだ。ほんの1,2万円安いだけでも、非正規ルートのネット販売に群がる人はいるので・・・。

買う人もちょっと安くてうれしいし、転売ヤー業者もマージン商売ができてうれしいWin-Winな関係に見えるが、このバイヤー業に関わっている労働力は不法労働で賄われている場合が多いのだ。

モンクレール転売 に必要なバイヤー代行要員 = 不法労働

転売したい本人が買い付けに行ったり、友達同士の共同プロジェクトとして現地と日本で役割分担をしている転売ヤーもいるであろう。

ただ、私の働いたことのあるモンクレール転売ヤーサイトは日本のモンクレール並行輸入販売サイトとして最大手のような存在でありながら、多数の学生を不法に現金雇用していた。雇用契約書なしの、書面取引一切なし、給与明細などももちろんない。

転売業は不法労働してでも生きていかなきゃいけない現地の日本人をカモにした商売なのである。

イタリアなどヨーロッパ現地の学生を多数バイヤー要員として雇う。雇用契約は無いので、これら学生は働いていないことになっているし、実質仕事をしていても仕事ビザ等の申請や延長はできない。仕事は実際に店の在庫調査と買い付けにいく仕事もあれば、荷物を転送するだけの仕事というのもある。

この荷物の転送=購入したモンクレールの転送には、自分が今住んでいるヨーロッパの住所を記載する。荷物はギフトとして送る。中身はノートとか鉛筆とかが入ってることにする。

買い付けの仕事をする場合は、逆に自分をイタリア(ヨーロッパ)に在住しない人であると称し、品物を購入しなければならない時がある。

どういうことか。

イタリアは高額な買い物を現金ですることができない。バイヤーバイトは会社のカードもないので、現金を預かって品物を買いに行ったりする。現金で支払う場合は、旅行者である必要がある。そんなときには、日本からの旅行者であるふりをし、自分の日本のリアル住所と連絡先を記載して店に提出しなくてはならない。

ということで、不法な雇用の上に、働く方もめっちゃリスクのある仕事なのだ。

それでも、ヨーロッパで収入を得ることが難しい国の日本人や、向こうで結婚して時間が余っているけれどスキルなどは無い主婦は、そういった仕事をしちゃう傾向にある。

転売されるモンクレールを購入するとき考えるべきこと

どんな入手経路でも構わない。私はブランドがちょびっとでも安く買える方がいいんだ!

そう思う人も沢山いるだろうと思う。

ただ、そういった高額なものに手の届かない層の人間が必死こいて、ちょびっとだけ安く買えるところを探して転売ヤーから購入した品物は、不法労働の上に成り立ってるっていうのは何とも虚しい構図。

そんな空虚な歯車の一部になるくらいなら、そのお金を貯めて、ヨーロッパに行って、正規ブティックでゴージャス接待を受けながら、正規で購入したものをもって、ドアを開けてもらって、さっそうと店を出たらいいのに。

その姿を想像したほうが清々しくないだろうか。

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この記事を書いた人

Macaron

イタリア語・英語の通訳、翻訳などをしているトライリンガル。しかし仕事をしてるより放浪してる方が多い。