「主治医」ともう一度話す ~子宮頸がん「 腺癌 」と言われて

早く、早くと言われて、術後も特に普通の生活ができるというから承諾した手術日。簡単な手術とは言っても・・・。

あとになって不安が募る。腺癌 だから危ないって言うのに、この市民病院でいいの?

平塚市民病院のHPを開いて、婦人科に飛んでみる。

「悪性腫瘍にも積極的に取り組んでいる」のフレーズ。の、わりに年間症例数が少ない。産科ネタしか載っていない。

そして、産婦人科医のプロフィール一覧を見ると、主治医の名前のところに平成25年卒とある。25年って4年前? 研修医じゃないの? ガンの症例数が少ない病院で、かつ割合の少ない 腺癌 で、かつ臨床経験が少なそうな主治医。いいんだろうか・・・。

主治医との話し合いで不安は解消できるか

「あの、先日の診察で手術が決定したんですけれど、説明とかサラっとしか無かったし、ちょっとよくわからないというか 腺癌 て種類聞いたのも初めてだったし、もう一度話を聞きたいんですけれど。」

木曜の会社の昼休み、平塚市民病院の婦人科に電話してみた。今日明日は外来診察がないそうだが、一応折り返しで連絡をもらうことになる。

1時間後くらいに電話がかかってきて「明日の午後4:30頃来られますか?鈴木がお話しするとのことです。」ということで、金曜日あらためて聞きに行くことにした。親は帰省中なので結局また一人で行くわけだが。

翌日の金曜日。会社に午前行ってから、午後帰ってきて病院の予定だった。

が、あいにくの雨。うちの会社は森の中にあって、公共の交通機関が皆無なので半休時に行ったり来たりの移動ができない。チャリで14キロの道のりを経ていくほかないが、途中であきらめた。この雨では無理だ。休むと連絡をいれ、またしてもGoogle検索にふける。

この2日間のGoogle執着で、ちょっとずつAdenocarcinoma in situ についてわかってきた。だから、分からないで不安なのは病名やガンの種類についての一般情報ではなく・・・。 解決したい不安の源、それは私個人の診断・治療にあたる医者が信用いまいち出来ない、信用できるようなソースもプレゼンされてないということ。

(後になってわかるのだが、結局、この不安は手術の後になってどんどん膨らむことに。最初の病院選び、そして医者選びは本当に重要だ。)

 

午後になると、雨は止んでいた。

 平塚市民病院までは家から自転車で15分ほど。16:20頃病院についた。さすがにこの時間だと、病院は入院患者くらいしかいない。地下に降りて、誰もいない婦人科待合スペースへ。緊張する。

17番診察室。呼ばれて入る。とりあえず腰かける。聞きたいことはあるのに、話しはじめづらい。

医者って表情の全く変わらない人多すぎないだろうか。すごく苦手だ。

そんな感じなので、鈴木先生が話し出す。前回言った内容とほぼ同じことの言いなおしと円錐切除の手術内容。扁平上皮と 腺癌 の違いは、自分で調べた内容のほうが詳しかった。

不完全燃焼。

「さすが専門家だな。より分かりやすい!」と思えるような、相手が理解しづらいだろうことを突いて、分かりやすく説明するのではなく、むしろ前回と同じ説明を繰り返されることでコミュニケーションには期待できないと諦めモードに入った。

私のAISって出た部分って確実にAIS?AISにもガンに近いなあとか、軽い異形に近いとか分布はないの?上のほうには居なそう?組織診断から読み取れた情報で分かるのってどの辺まで?

「円錐切除してみれば全部分かりますよ。円錐切除って12分割して調べるんですよ―――」

いやでも、私はその円錐切除をここでしていいものなのか、信用できるのか、まずそこの判断をしたいんですよ。そその判断をする意味もあって、今日また話ききにきたの。

円錐切除: 腺癌 の場合 マージン陰性は意味ない???

「そういえば、円錐切除の方法なんですけど、何使って切るんですか?コールドナイフとか、超音波メス、電気ループとか色々あるみたいなんで・・・」

主治医「うちは全部レーザー」

「レーザーとか切った断面焼けちゃうから、細胞死んじゃってマージンがクリアーかどうか分からないんじゃないですか?」

主治医「大丈夫。病理の先生は・・・拘りのある先生だから。それに腺がんはスキップしてるかもしれないからマージン陰性でもあんまり関係ない

拘り?こだわりって?そんな謎解きみたいな説明は望んでないんだけど・・・。あとマージンが陰性かどうかって記載は色々な経験談で出てきたんだけど。マージンクリアー幅どれくらいあるとかスキップの可能性と関係ないの?

主治医「もし円錐切除で浸潤してるって出たら、他の病院で同じ検査してもいいかもしれない。上皮内なのか浸潤してるか、厳しめに見る病理の先生もいて、見る人によって判断違うから。」

浸潤・・・怖い言葉だ。

主治医「上皮内癌のひとっていっぱいいるんですよ。上皮内癌と浸潤ガンって全く別物って説もあって、あんまりよく分かってない。上皮内癌はそのままでも浸潤ガンにはならないものって考えもある。」

じゃあ・・・急いで手術する必要ないんじゃないの?

「あの、手術の後、別にしちゃいけない事は特にないって、この間いってましたけど、家で調べたら『重いもの持たないように』とか、『自転車のれない』とか、『お風呂入れない』とか書いてあって・・・。

私、19日からイタリア旅行で海に行くことを前提に計画立てたのと、子宮頸がんは短期間でそんなに悪化したり広がったりしないって、ガンになるのに2年くらいかかるって読んだので・・・旅行から帰ってきた後で手術がいいです。」

主治医「海・・か。多分(行っても)大丈夫だと思うんだけど・・・。普通、手術早くしてほしいって患者さんはいても、遅らせて欲しいって人は居ないからね。命に係わることですよ。 ガンがあるって思ってイタリアいっても楽しくないでしょう。」

いいえ、夏にイタリアにすら行けないのが一番楽しくない。最初の予定通り、8月のお盆前後で手術するのが一番いいのに。というか、さっきの上皮内癌は浸潤にならないの話はなんだったんだ。

「私はここ最近10年くらいはイタリアのほうが長いので、友達とかもほとんど向こうですし、里帰りみたいな感じで楽しみにしてて。ずらすにしても、予定調整するのも結構大変なのと、キャンセルもできないので。」

ここでまた例のカレンダー登場。8月・・・を凝視。

・・・・・・・。沈黙。

後ろへ ペラリ。・・・・・・・・沈黙。

前へ ペラリ。・・・・・・・・沈黙。

沈黙。どこまで続くの。

「・・・あの。7月10日でいいです。別に、特に気をつけなきゃいけない事とか、ないなら。」我慢できない私は沈黙を切った。

主治医「8月も手術待ってる患者さんでいっぱいなんだよね。子宮頸がんは進行遅いって、まぁ一般的にはそうだけど、腺がんはパンチ生検で・・・この間やった検査はパンチ生検て小さく組織とる検査だったんだけど、それで線がんが見つかるのってね、あんまりない。」

「それは私も疑問に思って――」もうちょい上のほうから再度、細胞診とかパンチ生検やってみるってチョイスはないのかな。

主治医「ふつうもっと奥にできるものだから、もしかしたら奥のほうにもっと悪いものが見つかるかもしれないし。だから早めに円錐切除術で病理診断したほうがいいと思いますよ。旅行とか、こんなこと部長に言ったら怒られちゃうからね。命に係わる事なのに何言ってるって。」

「瘡蓋取れた後の大量出血ってしたら病院は行かないとダメですか?」

主治医「ダメ。放っといたら貧血になるから、止血の注射しないと。」

でも注射すればいいだけなら心配しなくても大丈夫かな。イタリアではもうすでに腹腔鏡の手術も経験してるし、言葉も通じるし、知り合いも多いし。飛行機の中で起こりさえしなければ・・・。

主治医「イタリア行くの19日の何時ごろですか?行く前に来院して一応止血の注射していきます?」

この最後のやりとりが、なんだか計らいがある感じがして、ちょっと良い先生かもと思った。それで手術に関しては納得して帰ることにした。

診察室を出た時には、入った時から既に1時間が経過していた。ずいぶん長く話したんだ。いや、沈黙も長かったか。

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この記事を書いた人

Macaron

イタリア語・英語の通訳、翻訳などをしているトライリンガル。しかし仕事をしてるより放浪してる方が多い。